OMEBRA ADRATA-慕わしき影

2012/12/8-12/25

マギエラのキャンドル、オブジェ
山下陽子のボックスオブジェ、コラージュ
村松桂の写真作品

遠い昔、蝋燭の炎によって壁に映出された人物の影をなぞることで、その像を壁の上に刻印したという。
実際の影は、消えてしまっても、壁に残された影像は、不滅のものとして固定化される。
見捨てられた過去の断片たちも、蝋燭として蘇らせることで、過去の世界を生き延びた石や植物のように、記憶の残滓として存在を続けるが、火を灯せば、それは温かい液体となって幻のように形を失ってしまう。炎が映し出す影は、人々を惑わせる。それは宙空に煌めく星塊のように、目には見えてもつかまえることはできない。
ほんの小さな物体でさえ、光を投じれば、その影は実物よりも大きく、時に亡霊のように見えてしまうのに、火が消えた途端、すべては霧消してしまう。
影は幻の劇場。