◆ 大月雄二郎 展 「十の冬、十の夏」
世界はかつて私のものだった
黄金も 勝利も
我こそ英雄 我こそ伝説だった
だが 私の島はいよいよ遠く
力も若さも遠のいて
爾来 私の記憶は旅路を映す
旅の物語を
唯一の戦利品として
略歴
1948年生まれ。関西学院大理学部を中退。
69~71年「状況劇場」に所属。
このころ山本六三に銅版画の手ほどきを受ける。
72年からパリへ移住。池田満寿夫やロラン・トポールらと交流し、大きな影響を受けた。
その後、パリ、東京、アメリカ、ベルギー、トルコなどで個展。
1998年、仏語による短編小説を出版.
その後カンヌ映画祭・監督週間のポスターを制作するなど多方面でフランス文化に根付いた活動を続けている。
2011年フランス芸術文化勲章シュバリエ受勲。
◆ 戸田勝久展 「六月の夜の神戸の空」
6/23-7/16
略歴
1954年神戸生まれ
アクリル画を井上直久氏に、デッサン・銅版画を山本六三氏、南画を津川蕃氏より学ぶ。
アスタルテ書房(京都)、啓祐堂ギャラリー(東京)、スパンアートギャラリー(東京)
大丸心斎橋美術画廊(大阪)、ぎゃらりぃ思文閣(京都)、ギャルリ・プチボワ(大阪)
ギャラリーリブアート(松山)、ギャラリーサラ(滋賀)などで個展、グループ展など。
出版物 『詩人の休日』画集 The Twilight Press刊
『旅の空』画集 加藤美術刊
『空の調べ』画集 ぎゃらりぃ思文閣刊
『書物の旅』エッセイ集 水仁舎刊
◆ 「OMBRA ADRATA -慕わしき影」
12/8-12/25
キャンドルオブジェ マギエラ/コラージュ山下陽子/写真作品 村松桂
遠い昔、蝋燭の炎によって壁に映出された人物の影をなぞることで、
その像を壁の上に刻印したという。
実際の影は、その人物とともに消えてしまっても、
壁に残された影像は、不滅のものとして固定化される。
今にも壊れてしまいそうな見捨てられた過去の断片たちも、
蝋燭として蘇らせることで、過去の世界を生き延びた石や植物のように、
記憶の残滓として存在を続けるが、火を灯せば、
それは温かい液体となって幻のように形を失ってしまう。
炎が映し出す影は、人々を惑わせる。それは宙空に煌めく星塊のように、
目には見えてもつかまえることはできない。
ほんの小さな物体でさえ、光を投じれば、その影は実物よりも大きく、
時に亡霊のように見えてしまうのに、
火が消えた途端、すべては霧消してしまう。
影は幻の劇場。
夜の闇を、鏡の世界を、遠い記憶の地を、影は漂泊し、消えてゆく。